
2025年は、日本の特許制度の礎となった「専売特許条例」が1885年に公布されてから140年にあたる年です。「特許行政年次報告書2025年版」でも、この140周年を機に、特許庁による審査迅速化・品質向上の取り組みが特集されています。
現在公表されている最新データ(2024年度実績)によると、日本の特許審査はすでに国際的にも極めて迅速です。
・特許の権利化までの平均期間:13.0カ月
・最初の審査結果通知(一次審査通知)までの平均期間:9.1カ月
この迅速な審査体制は、事業を展開する企業にとって大きなメリットをもたらしています。
しかし、新規事業を立ち上げるスタートアップや市場への製品投入を急ぐ中小企業の皆様にとっては、特許の権利化までの「平均13.0カ月」という期間も長く感じられるかもしれません。「新製品をすぐに市場に出したい」「他社に先駆けて独占的権利を今すぐ確保したい」といった緊急性の高いニーズに対応するため、特許庁は早期審査請求制度を用意しています。
特許の場合、早期審査を利用すれば、2024年度の実績で、一次審査通知までの期間は平均2.3カ月と大幅に短縮されます。
さらに緊急性の高い案件では「スーパー早期審査」を利用すれば、平均0.8カ月(約24日)という驚異的なスピードで最初の審査結果を受け取ることが可能です。これは実質1ヶ月未満という異例の速さです。
ブランド戦略に欠かせない商標についても、早期審査は有効です。通常4~6カ月、長ければ1年以上かかる審査期間が、早期審査の対象となればわずか1~2カ月で審査結果が通知されます。
製品のデザインを保護する意匠も、早期審査により迅速な権利化が可能です。通常6~8カ月かかる審査結果の通知が、多くの場合3~4カ月短縮され、最短で3カ月以内に審査結果を得ることも可能になっています。